アマゾンプライムでリーマンショック(サブプライムローン問題)を扱った映画「マネー・ショート」(2014)を観ました。

俳優
マイケル・バーリ(37当時)・・・クリスチャン・ベール(40)
マーク・バウム・・・スティーヴ・カレル(52)
ジャレド・ベネット・・・ライアン・ゴズリング(34)
ベン・リカート・・・ブラッド・ピット(51)
※以下カッコ内は公開時のだいたいの年齢
概略
少し変わった人が儲け話を思いついてみんなで大儲け。
感想
まずこの映画はエンターテイメントではないです。どちらかというと記録映画、ドキュメンタリーに近いです。テーマはサブプライムローン問題つまりリーマンショックですね。登場人物のマイケルバーリ(リーマンショック時37歳)は実在の人物、他の登場人物にもモデルとなった人たちが存在します。
割とお話は淡々としていて、事実の羅列といった感じです。主人公たちの苦悩、そして出会い、勝利、という流れです。もちろん観ている側は結果は知っているので、実際にはどういう雰囲気だったのか?を楽しむことになります。そしてサブプライムローン問題でも勝利した人達がいる、しかしその裏ではたくさんのアメリカ国民が苦しんだ・・・社会問題的な映画です。
お話としては良くある、変人が(失礼)他人にはなかなか理解されない儲け話を思いついてお金儲けをする、常識を疑え系の話なんですが、お話が少し難しいです。
まず、クリスチャン・ベール(40)の役割はサブプライムローン債権を売り玉で持つことができるようにする仕組みを考えた人です。もちろん本人も売りたい。そして、スティーブ・カレル(52)とライアン・ゴズリング(34)はそれに乗っかって儲けた人たち、ブラッド・ピット(51)はその橋渡しとして協力をした人、という感じです。
売り玉というのは「うりぎょく」と読んで空売りしたときの保有している未決済の商品のことです。空売りというのはたとえば株なら「この株が上がったらそのときには本来あなたが得する分を私が支払います、だけど下がったらその分払ってね」という信用取引というヤツです。
割と難しいお話なので所々に説明をしてくれるメタな人物が現れます。マーゴット・ロビーはお風呂に入りながら、セレーナ・ゴメスとリチャード・セイラーはカジノで、アンソニー・ボーディンは厨房で、それぞれ本人役でなんとなく説明してくれます。
この映画、バカをやった銀行、国民みんなは被害者、というのがもう一つの主旨です。
銀行を潰せばみんなが困る、だから銀行には公的資金である税金をどんどん投入する、ならばその投入されたお金でまた贅沢三昧やろうぜ!というのが現在の世の流れなわけですが、この当時は財務長官だったポールソンが「クズめ!ぶっ潰したるわ!」という流れの発言するんですね、そしてリーマンショックが起きる、株は暴落する。ポールソンはあわてて金融機関安定化法案を出すんですが、時すでに遅し、世界が不況へと突入してしまった。
銀行員には贅沢三昧させたほうが良かったんかね?お前らどう思う?的な話でもあり、この映画としてはサブプライムローン問題で大儲けした!→バカな行員共を出し抜いてやったぜ!というポジティブな解釈をしているとも言えます。
映画としてははっきり言ってそこまで面白くはないと思います。でも、僕は好きですね。クリスチャン・ベール(40)の気持ち悪い演技は素晴らしいし、僕はサブプライムローン問題で少し損をした側の人間ですが、損をさせやがってザマーミロという気分で観ることができました。アメリカのリートの投信を買ってたんです、少し。
ほかにサブプライムローン問題を扱った映画としてはリーマン・ブラザーズ 最後の4日間があります。こちらはよりドキュメンタリー色が強いですが、より生々しいです。
私の評価
☆☆★★★ ー 一般
☆☆☆☆★ ー 中年
これは中年としては観ておいてもいい映画なのかなと。あのサブプライムローン問題とは一体何だったのか?を知る一つのソースになります。そして投資ということを考える良いきっかけでもあります。面白かったですよ。
配役について
すごく豪華ですね。結構地味な映画なのに、クリスチャン・ベール(40)、ライアン・ゴズリング(34)、ブラッド・ピット(51)、ですよ!プランBだからでしょうね。
ブラッド・ピットはフィクサーとして登場します。「それでも夜は明ける」も観たんですが、あのときも最後の方でいい役で出てくるんですが、そちらは違和感がすごかった。プロデューサー特権でしょうね・・・。この作品ではなかなかいい味出ていると思います。彼は髭をはやしたほうがいいですね。
スティーヴ・カレル(52)さんは私はあまり良く知らないんですが、怪盗グルーの月泥棒でグルーの声をやっている方、らしいです。コメディ畑の方らしいです。そもそもこの映画自体がコメディというジャンルでもあるようですね。
ファッションと小物
もうビジネス作品なのでスーツスーツスーツです。比較的腰回りのタイトなスーツですね。この時代はこうでした。みなさんシャツの首周りが少しゆとりがありますが、ライアン・ゴズリング(34)だけはピシッとしている。さすがです。自前でしょうか?

対比としてクリスチャン・ベール(40)やブラッド・ピット(51)は梳毛のスーツをあまり着ないように描かれています。アメリカに根付く反知性主義的な、お高く止まったエリート共に負けるか!というのは数々の作品で見かけますが、この作品でも感じられます。
この手の映画にしては珍しく登場するPCがウィンドウズばかりです。マックが登場するのは最初の方のスティーブ・カレル(52)の幼い娘が使っているのぐらいではないでしょうか。やっぱりああいうシーンでマックはちょっと変です。
途中で11万ドルから投資で3000万ドルまで増やした若い二人の投資家が出てきますが持っているブリーフケースが布のショルダーバッグです。銘柄はちょっとわかりませんが、相手はナイロンリュックサックを背負っています。リーマンショックのときの画像を見ると結構こういう人が多いです。「男は鞄は適当であれ」という気がしますね。

ブラッド・ピット(51)の着ているオリーブグリーンの細畝のコーデュロイのスーツはリラックスしていて程よいカジュアルさでいいですね。休日でも平日でも行けそうです。後半に着ているネイビーのショールカラーのニットもいいですね。

スティーヴ・カレル(52)のつけている時計はロレックスサブマリナーデイト。奥さん役の方がつけているのは多分シャネルのJ12。

ジェレミー・ストロング(36)のつけている時計はジェンタ風のロレックスオイスタークオーツ、古いモデルですね。これをつけているというのは時計マニアという感じです。

ライアン・ゴズリング(34)はスウォッチの YGS715 をつけているというのを Reddit で見ましたが、ちょっとわかりません。
ちなみにポケットチーフを挿している人は一人も出てきません、たとえ登壇してもつけていませんね。カフリンクスもなし。
気付き
Truth is like poetry, And most people fucking hate poetry.
(真実は詩のようで、そしてほとんどの人は詩を糞だと思ってる)
Everyone, deep in their hearts, is waiting for the end of the world to come. – Haruki Murakami, 1Q84
(だれもが ― 心の奥底では ― 世界の終りが来るのを待っている, 村上春樹 1Q84)
タイトルのマネー・ショートですが、ペアとしてショートしているのは債権でマネーはロングされてるんじゃないでしょうか?意味として逆のような。「資金がショートした」ぐらいの意味のつもりなんですかね・・・。ちなみに原題は The Big Short で売りの意味以外にも Big Shot と掛けている言葉遊びでもあるんだと思います。