ペンタックス パピリオ 6.5×21 ― 近くが見えすぎちゃって困るの

パピリオという双眼鏡を7~8年使っています。

はじめに

まず基本情報として製品名がペンタックスパピリオとなっていますが、現在はリコーパピリオになっています。中身は変わっていません。

さて、双眼鏡が好きという方なら知らない人は居ないであろうと言われる名機のパピリオです。この双眼鏡は何がすごいかというと、近くが見えるんですね。近くと言っても50cmぐらいでマイクロスコープレベルではないです。しかし、50cmの距離のものを6.5、8.5倍で見るというのは、それだけで驚異の体験になりえます。

以前から単眼鏡を使っていたのですが、単眼鏡ではなく双眼鏡が欲しくなったんです。その理由は観劇でした。まず、そこそこ明るいことと、安いこと、まともであることが重要でした。そこまで携帯性にこだわるわけでもなく、いろいろな双眼鏡を物色していました。8倍は倍率が高いすぎるというのは以前から思っていたので少し倍率を落として5~6倍にしようというのは決めていました。

それから瞳径が3~4mmぐらい欲しいとも思っていました。値段的にそんなに出したくなかったので ー というか双眼鏡はそんなに使わないですし、そこまでコストを掛ける必要はないだろうと。Vixen の双眼鏡は品質の割に安いですし、Vixen の望遠鏡を幼い頃持っていたこともあり、とても親しみがありました。それで Vixen の双眼鏡にしようと思っていました。多分、8x32のダハプリズム(筒が二本つないであるようなシンプルな形の)にしようと思っていました。

ところが調べていてなにかのきっかけでパピリオに出会ったんですね。近くが見える双眼鏡??意味あるのそれ?って思ってました。別に近くで見たいものなどあるわけでもなく、でも買ってみてもいいかな、と何故か思いました。どうして買ったのか、今でも思い出せません。でも買ったんです。今でも Vixen の8x32とかは購入しようかなと思っています。

使用感

双眼鏡っていうのは実は使う機会がものすごく少ない道具なんですね。遠くを見るための道具、遠くを見る必要性があることってありますか?まずないはずです。あるとすれば、家がどこか壊れたりとかそういうの位ではないでしょうか?遠くを見るっていうのはそれ自体エンターテイメントを求めて、なんですね。そしてその対象が遠くにないといけない。

ペンタックス パピリオ

たとえば、スポーツ観戦、これは双眼鏡の登場する良い機会です。そんなもので見るくらいならテレビで見れば?と思うかもしれませんが、裸眼で見る→双眼鏡で見る→裸眼で見るっていうのはずーっとテレビで見ているのとは全く違う楽しさがあります。でもですね、そんな機会めったに無いことないですか?バードウォッチングが趣味とかじゃない限り遠くに観たいものが必ず存在する事って少ないんです。つまり、双眼鏡を使う機会って本当に限られていると思うんです。

ペンタックス パピリオ

ところがですね、このパピリオを使うとその範囲がぐんと広がるんです。近くがみれるのが何が楽しいんだ、と思うと思うんですが、たとえばフィギュアとか ー 私はエイリアンのフィギュアを集めていたりするんですが ー を眺めたり、つまるところコレクションの何かを眺めたりする、そういった行為が俄然面白くなるんです。そしてそういう事には最短合焦距離が短い方が都合が良い。

あと、外に行って花を見るであるとか、虫を遠くから見るであるとか、とにかくそういった自然を安全な距離から観察できる、そしてすげーすげー言う、そういうことがこの双眼鏡にはできるんです。部屋のあちこちを眺めて意地悪な姑のごとく、埃が!とか言うこともできる。あと人間の顔は見ないほうがいいです・・・それぐらい室内が楽しくなるんです。近くが見られる単眼鏡というのは結構あるんです。ところが両目で見るというのはその快適さと立体視ができることなどから全然見た感じが違って見えます。これは体験してみてほしいです。

パピリオの接眼部 2段階繰り出すフード付き

しかもですよ、この双眼鏡は遠くも見えるんですよ(もはや本末転倒)!月蝕を眺めたりもしました。本当によく見えます。彗星が来たら彗星も見られるでしょう。空を飛ぶ飛行機の腹を眺めてもいい、つまりですね、ちょっと河原で鳥を眺めたりしてたけど、近くのゲジゲジも見られる、これ一つで!というのが良いんです。ちょっと大きいですが。

付随するケース ベルトに付ける事ができます

そうそう、実はこの双眼鏡、近くを見る時にちゃんとものが一つに見えるようにレンズの向きが内向きになるんです。そういう機構が入っているので同じくらいの性能の他の双眼鏡に比べると大きく重いです。それは唯一の欠点です。

実は私はこの双眼鏡は2回購入しています。実は1度過去にレンズのコーティングが変更になってパピリオ2になったんですね。レンズのコーティングでそんなに違うものかな?と思っていたんですが、上に書いたように月蝕を見る機会があったんですが、月が2つに見えたんです。もちろん一つはゴーストで多少は薄いことは薄かったんですが、それでも結構強く見えたんです。それであーコーティングを良くしたのはこういうのが理由だったのか・・・と思い、新しいのを買いました。結果はかなり違いました。比較したわけではないですが、月をみてもあまり気にならない程度には薄くなっていました。正解だったと思います。

手に持った時の感じ

私の評価

☆☆☆☆☆・・・唯一無二の近くが見える双眼鏡として
☆☆☆★★・・・通常の双眼鏡の性能として

双眼鏡といての性能は並だと思います。しかし、そんなことはどうでもいいぐらい楽しい双眼鏡です。自然を見るのが好きとか、光学機器が好きとか、視覚をドーピングしたいとか、飾る何かを集めているとか、ペットが居るとか、博物誌が好きとか、動物園に行くとか、公園を散歩するとか、要するに何かを眺めたい、そういう趣味を持った人には大変おすすめのオールマイティな双眼鏡です。

補記

目の位置が離れていたほうが立体感は強くなると思うんです。このパピリオは携帯性を重視したミニポロプリズムと言われるものなんです。なので立体感が少し弱い。もし可能であればダハプリズムの商品があればもっと立体感があって携帯性もさほど変わらないだろうという気がするのですが、双眼鏡なんてそんなに売れる商品でもないでしょうし、光学的に難しいのかなぁ・・・素人にはよくわからないですが、あればいいなと思うことあります。

リンク

ペンタックスパピリオ(公式)