ホドロフスキーの DUNE ― 最強のDUNE

ホドロフスキーの DUNE を観ました。

感想

ある時、父親が DUNE を観たいと言い出したんですね。その頃もう私は中学生で、すでに映画などは自分で観に行くようになっていたんですが、私の父はわりと映画好きでその父と観に行くことになったんです。私と父は久しぶりに映画を一緒に見たわけですが、なんかお話が全くよく理解できず、さらにハルコンネン男爵というサディストのホモが出てきて、なんというか気まずい感じだったのを覚えています。あの映画は思春期の男が父親と観る映画ではないでしょう。

で、映画自体はよくわからないつまらない映画だったと思うんですが、その映像表現と美術には私はとても惹かれました。正直スターウォーズシリーズのSF観にはもう飽き飽きしていて、あのゴシックな感じ?あの自分のおしっこを循環させて飲むスーツ?とか設定がすごく良いのと、まぁギーガーが美術をやっていたことは当時は知らなかったんですが、要するに彼の美術が良かったんでしょうね。あと、パンフレットの真中部分が濡れ場のどアップになって乳首が写ってるのとかどうでもいいことばかり覚えています。

このデヴィッド・リンチの DUNE についてはまた別に項目を設けたいと思っています。

さて、そういうことが以前あったわけですが、私は実は小説版の DUNE を読んだことがないんですね。中学生の時には全く基礎的な情報がなくて、DUNE を観たんです。それで DUNE に関する知識もうっすらとしかなかった。原作しかなくてそれが映画化された、ぐらいです。その後、知ったのは

1.原作はめっちゃ長いお話
2.DUNE を監督したのはエレファントマンとかのデヴィッド・リンチ
3.美術はH.R.ギーガー

ですね。その状態が長いこと続いたんです。それでアマゾンプライムにホドロフスキーの DUNE というのがあって、それで観てみようと思って観たんです。いろいろな事を知りました。

DUNE の原作は、どうやら当時の世相とかドラッグの世界と相まって、けっこうスピリチュアルで素晴らしい作品という位置づけだったんですね。それをホドロフスキーは狂ったみたいな豪華な仕様で映画化しようとした。「僕の考えた最強の DUNE」に猛進するんですね。そしてそれはかなり結実しそうになった。

配役が、ミック・ジャガー、サルバドール・ダリ、オーソン・ウェルズみたいな感じで、脚本はホドロフスキー自身が、演出はメビウス、美術はH.R.ギーガー、音楽はピンク・フロイド、特殊効果はダン・オバノン、そうそうたるメンバーですね。ギーガーはダリに紹介されたらしいんですが、すごいエピソードです。そのダリを映画に誘う下りはこのドキュメンタリー映画で見ものです。ダリはああいう芸術家ですからね。

結局ホドロフスキーの DUNE は頓挫してしまうんですが、この「僕の考えた最強の DUNE」の資料は後世の様々な作品ににかなり影響を与えたことになっています。私はちょっとそれはいいすぎな部分もあり、あたっている部分もあり、と思いましたが、影響を与えたことは確かだと思います。もちろんその時代の流れみたいなものもあったでしょうね。

デヴィッド・リンチの DUNE が失敗して笑ってしまうホドロフスキー

私の評価

☆★★★★・・・一般
☆☆★★★・・・中年

リンチの DUNE を観たことのある人なら、観ても損はないと思います。あと、ホドロフスキー好きの方なら。

ファッションと小物

ニコラス・W・レフンがトム・フォードのメガネをしていますね。レンズは入っていないような気がします。

ニコラス・W・レフン

リンク

IMDb みんなのシネマレビュー アマゾンプライム